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相続税を適切に申告・納付しなかった場合に関するQ&A

  • 文責:所長 税理士 田中浩登
  • 最終更新日:2023年7月27日

相続税の申告・納付をしないとどうなるのですか?

相続税の申告も納付もしないでいると、無申告加算税というペナルティーが発生します。

税務調査通知以後、更正・決定予知前に期限後申告をした場合、50万円以下の部分については10%、50万円超~300万円以下の部分については15%、300万円超の部分については25%の無申告加算税が課せられます。

更正・決定予知後に期限後申告をした場合、50万円以上の部分については15%、50万円超~300万円以下の部分については20%、300万円超の部分については30%の無申告加算税が課せられます。

また、仮装や隠蔽があるなど悪質な場合には、重加算税(40%)が課せられます。

また、申告期限から実際に納税した日までの日割り計算により、延滞税(令和6年時点では、申告期限から2か月間は2.4%、申告期限から2か月経過後は8.7%)が課せられます。

相続税を適切に申告しないとどのようなリスクがありますか?

上記で述べたような、故意の脱税をするような事態は、通常考えられません。

心配するべき事態は、税理士に依頼せずに不完全な申告及び納付をすることで、どのようなリスクが生じるかです。

まずは、過少に申告をしてしまった場合の過少申告加算税及び未納付部分の延滞税が課せられるというリスクがあります。

また、一定の手続きを行わなかったことにより、相続税の減額措置を利用することができなくなるリスクがあります。

例えば、遺産分割協議が成立する前の未分割申告時に、3年以内の分割見込書の提出を漏らしてしまった場合です。

この場合、遺産分割協議が成立したにもかかわらず、配偶者控除や小規模宅地の特例について適用ができず、多額の税金を納めるようになってしまうという事態が生じることがあります。

また、3年以内の分割見込書を提出していた場合であっても、遺産分割協議が長引いた際、申告期限から3年を経過する日から2か月以内に、分割が未了であることについてやむを得ないことの承認書を提出しなければ、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を利用することができなくなってしまいます。

そして、分割が未了であることについてやむを得ないとの承認がなされるのは、事前に遺産分割調停等の法的手続を進めている場合に限られます。

このため、知識がなく、漫然と協議を進めていると、結局、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例は使えなくなるおそれがあります。

また、相続税の申告を適切に行わなかった場合、申告後に、税務署の税務調査が入るケースがあります。

税務署の調査に対して適切に対応できないと、加算税などのペナルティーが課されるおそれがあるため、注意が必要です。

税務調査については、書面添付制度を利用することで防ぐことができるケースがあります。

書面添付制度については、こちらもご覧ください。

相続税を適切に納税しないとどのようなリスクがありますか?

申告は正しく行っても、納税を行わない場合には、資産に差し押さえをされ、強制的に執行されるという可能性があります。

場合によっては延納制度を利用する方法もありますので、納税が困難である場合にも、税務署と適切なやり取りを行い、リスクを最小化する必要があります。

延納手続には、現在の財産や収入を疎明する等、準備が必要です。

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